ティーショット2026-07-18

フェードとドローの選び方と打ち方 ——「自分に出やすい球」を伸ばすのが近道

結論から言うと、フェードとドローは飛距離や憧れで選ぶものではありません。自分が無意識に取りやすい構えの向きと、スイング軌道の癖(インから出るのか、アウトから入りやすいのか)に合った球を選んで磨くのが、安定への近道です。右を向いて構えやすい・インから出る人はドロー、左を向いて構えやすい・アウトから入る人はフェードが「出やすい」球。まず自分の癖を知り、逆らわずに出やすい方を武器にしましょう。

「ドローは飛ぶらしい」「プロはみんなフェード」——耳にするたびに持ち球を変えようとして、かえって球が安定しなくなっていませんか。憧れで球筋を選ぶと、自分の軌道と逆のことをやろうとして力み、ミスが増えます。

この記事では、まず「ドローは飛ぶ」の誤解を解きます。そのうえで、フェードとドローそれぞれの強み、自分に合う球筋の見極め方と打ち方を、図とデータで整理します。出球そのものの仕組み(フェースと軌道の関係)は出球はフェースと軌道で決まるで解説しています。

「ドローは飛ぶ」は半分ホント、半分ウソ

いちばん誤解されている点から始めます。TrackManの計測例では、ドローとフェードのキャリー(空中の飛距離)はほぼ同じでした(ドロー245.7ヤード/フェード240.8ヤード)1。差がつくのは着地後のラン。ドローは低いロフト・低いスピンで打ち出されるぶん、着地角が浅くてよく転がるのです。

フェードとドローの飛び方の違いの図。キャリーはほぼ同じだが、フェードは高く上がって止まり、ドローは低く出て着地後に大きく転がる

つまり「曲がり(ドロー)そのものが飛距離を生む」のではありません。ドローが飛ぶのは「低スピンで打ち出せているから」です。だから「飛ばしたいからドロー」と形だけ真似ると、低スピンに打てないまま無理に左へ曲げようとして、大きなフックやチーピンに転びやすくなります。飛距離目的で憧れの球に飛びつくのは、遠回りになりがちです。

フェードとドロー、それぞれの強み

どちらが上でどちらが下、ではありません。性質が違うだけです。

観点フェードドロー
弾道高い低い
着地止まりやすい(スピン多め)転がる(ランが出る)
影響を受けやすい強い(風を貫く)
曲がり幅読みやすく安定力強いが大フックのリスク

プロのドライバーの約半分がフェードなのは、飛距離を数ヤード譲っても曲がり幅が読めてフェアウェイに置きやすいからです2。一方ドローは、ランと風への強さが魅力。硬いグリーンを狙う場面ではフェードの「止まる」が効き、風の日やランで距離を稼ぎたい場面ではドローが効く——優劣ではなく用途の違いと捉えるのが正解です。

自分に合う球筋は「向きの癖」と「軌道の癖」で見極める

では、自分はどちらを磨くべきか。ここがこの記事の核心です。答えは、憧れではなく自分の「クセ」の中にあります

見るポイントは2つ。①無意識に構えやすい向き、②スイング軌道の傾向(インから出るか、アウトから入るか)です。

構える向きで出やすい球が変わる図。右を向いて構えるとドローが出やすく、左を向いて構えるとフェードが出やすい

  • 右を向いて構えやすい/クラブがインから出る人は、軌道が右向き(インサイドアウト)になりやすく、ドローが出やすい
  • 左を向いて構えやすい/クラブがアウトから入る人は、軌道が左向き(アウトサイドイン)になりやすく、フェードが出やすい

自分の癖に逆らって反対の球を作ろうとすると、体の自然な動きと戦うことになり、再現性が落ちます。出やすい球を磨くほうが、少ない労力で安定します

自分の軌道の癖を知る簡単なチェック

  • 練習場で、球が最初にどちらへ出るかを見る。左に出てから戻るならアウトから入る傾向、右に出てから戻るならインから出る傾向です
  • ダフったときのターフ(削れた芝)の向き。目標より左を向いていればアウトサイドインの傾向
  • 構えたあと目を閉じ、もう一度目標を見て無意識の向きが右か左かを確かめる

アウトから入る癖が強くスライスが止まらない場合は、スライスの原因は3つもあわせてどうぞ。迷ったら、まずは「いま出やすい球」をそのまま磨くのが安全です。

打ち方——フェースは「打ち出したい方向」、軌道はそのさらに外へ

打ち分けの原理は、出球の仕組みのとおり「打ち出し=フェース、曲がり=フェースと軌道の差」です。つまりフェースが向くのは、球を止めたい場所ではなく打ち出したい方向。そこから曲がって目標へ戻るように、逆算して構えます。

  • フェードを打つときは、フェースを目標の少し左(打ち出したい方向)へ。スタンスと軌道はそのさらに左へ向けます(フェースが軌道より開いた状態になり、右へ戻る回転がかかる)。グリップは強く握りすぎないようにします
  • ドローを打つときは、フェースを目標の少し右へ。スタンスと軌道はそのさらに右へ向けます(フェースが軌道より閉じた状態)。グリップをやや強め(左手の甲が2〜3ナックル見える)にするとフェースが閉じやすくなります

どちらも共通のコツは、フェースと軌道の向きに小さな「差」を作ること。フェースまで軌道と同じ向きへ振ってしまうと差が消え、打ち出した方向へまっすぐ飛ぶだけになります。曲がりが読めれば、曲がる前提で狙ってOBを減らす戦略も取れます(ドライバーOBを減らす考え方)。

研究員Aの体験——憧れより「自分の出やすい球」

当研究所の研究員Aは、もともと憧れからフェードを打とうとしていました。ところがAには、クラブがインから出やすく、アドレスでも無意識に右を向いて構えやすいという癖がありました。つまり、体の自然な動きは「ドロー向き」だったのです。

フェードを作ろうとするほど軌道と逆のことをして球がばらつく——そう気づいたAは、逆らうのをやめてドローで安定させる練習に切り替えました。自分の出やすい向きに沿って振るぶん再現性が上がり、ティーショットのばらつきが減って、スコアの安定に寄与したそうです。

なお、どちらの球が「正解」ということはありません。大切なのは、憧れや飛距離ではなく自分の癖に合う球を選ぶ視点です。出やすい球や効果には個人差があります。

まとめ

  • フェードとドローは優劣ではなく用途の違い。「ドローは飛ぶ」の正体は曲がりではなく着地後のラン(低スピン)
  • 選ぶ基準は憧れや飛距離ではなく、自分の「構える向き」と「軌道の癖」。右向き・インからはドロー、左向き・アウトからはフェードが出やすい
  • 反対の球へ作り替えるより、出やすい球を磨くほうが少ない労力で安定する

自分の球の「クセ」が見えてきたら、次の問いは「そのクセやミスが、どこでどれだけ打数を失っているか」です。まず自分のロス構造を知ることが、遠回りをなくす近道です。

出典

  1. TrackMan公式ブログの計測例。キャリーはほぼ同じで、差は着地後のラン(低スピン由来)。TrackMan自身も「人により逆もあり個人差が大きい」と明記。

  2. PGA Tour Tour Tracker(2024)の集計(Golf Analytics)。ドライバーの約半分がフェード。

よくある質問 FAQ

ドローとフェード、どっちが飛ぶ?

キャリー(空中の距離)はほぼ同じで、差は着地後のランです。ドローは低スピンで打ち出されるぶん転がって総距離が伸びやすく、フェードは高く上がって止まります。曲がりそのものが飛距離を生むわけではありません。

自分に合う球筋の見分け方は?

①無意識に構えやすい向きと、②スイング軌道の傾向(インから出るか、アウトから入るか)の2つで見ます。右向き・インから出る人はドロー、左向き・アウトから入る人はフェードが出やすい球です。まず出やすい方を磨くのが安定への近道です。

100切りにはフェードとドローどちらがいい?

どちらでも切れます。大切なのは球種よりも再現性です。自分の癖に逆らわず、出やすい球を安定させることを優先しましょう。無理に反対の球へ作り替えると、かえってばらつきが増えがちです。

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