診断の作り方と検証
スコアロス診断の「物差し」がどう作られ、どう検証されたかの公開ノートです。 研究所を名乗る以上、結論だけでなく作り方と限界も見せるべきだと考えています。
診断が計算していること
スコアロス診断は、10問の回答から1ラウンドの「減らせる損失」をティーショット・アプローチ・パッティング・マネジメントの4カテゴリに分解して推定します。計算はシンプルで、たとえば 「OB・ペナルティ1回=約1.4打のロス(打ち直し・リカバリー込み)」のように、 ミスの回数に係数を掛けて積み上げ、スコア帯による補正を掛けます。
評定(A〜E)と帯内ポジションは、あなたの推定ロスを同じスコア帯のゴルファーの平均的なロス(基準値)と比べた相対値です。つまりこの診断の信頼性は、「基準値がどれだけ現実に 合っているか」で決まります。
物差しの素材にした公開データ
- Shot Scope(3.5億ショット超の計測データ)—— ハンデ別の3パット頻度、50ヤード以内の平均打数など
- Arccos / Lou Stagner(7.8億ショット)—— ハンデ20前後の3パット平均4回/R、ダブルボギー以上6.6回/Rなど
- Mark Broadie『Every Shot Counts』—— スコア差の内訳(アプローチ40%・ティー28%・小技17%・パット15%)
- GDO 12万人調査(2015)・GolfCounter(2026)—— 日本のアマチュアの平均パット数・OB回数・スコア分布
海外データは「ハンデ⇔スコア帯」の換算(HC18〜25 ≒ スコア95〜110)を挟んで 使っています。この換算には±5打程度の幅があります。出典と数字の対訳は、 記事内でもその都度明記しています。
検証で見つけた問題と、補正の経緯
初版の基準値を実データと突き合わせたところ、問題が見つかりました。 Arccosの計測データ(ハンデ20前後の3パットは平均4回/R)のとおりに正直に 回答した「ごく平均的な100切り前のゴルファー」が、初版の物差しではパットE評定(最低)・総合Eになってしまう—— 平均的な人にはC(標準)が出るべきなので、これは診断が現実からズレている ということです。
原因は、パットの基準値が計測データの約半分と楽観的すぎたこと (自己申告の控えめ傾向を織り込みすぎ)でした。そこでパットとアプローチの基準値を実データ側へ補正し(v2・2026年7月)、 代表的な7パターンの回答でシミュレーションして、 「帯の平均的な人がちょうどCの中心になる」ことを確認しています。 データの裏付けがない項目(係数や評定境界)は変更していません。
この診断の限界(正直な注意書き)
- 入力は自己申告です。記憶違い・控えめ申告のズレは避けられません
- 海外の計測データは米国ベースで、日本のコース事情(OB杭の多さ等)と条件が異なります
- ハンデ⇔スコア帯の換算は目安です(±5打の幅)
- したがって結果の数値は「減らせる損失」の目安・推定値であり、 計測値ではありません。報告書にもその旨を明記しています
今後、診断の回答データ(匿名)が貯まりしだい、基準値を「日本の100切り層の 実データ」で置き換える本補正を予定しています。それがこの研究所の本丸です。
更新履歴
- 2026-07-08: 基準値v2(パット・アプローチの実データ補正)を適用
- 2026-07-10: 表示を「偏差値」から「帯内ポジション」へ変更(推定精度を超えた見せ方をしない)