クラブ診断
ティーショット2026-10-23

カット軌道が直らないのは、アドレスのせいかもしれない ——「まっすぐ構えたつもり」が、少し開いている

画像はAI生成のイメージです

カット軌道を直そうとして、腕の振り方や体の回し方をいろいろ試していないでしょうか。 当研究所の研究員も同じでした。何をやっても軌道が外から入る。 ところが原因はスイングではなく、構えの向きにありました。

この記事では、研究員の検証で分かったことを起点に、 「まっすぐ構えたつもり」がどれくらいずれるのかを計測データで確かめ、 自分の向きを調べる手順を整理します。

研究員の記録——少し閉じたら、軌道が変わった

研究員は長くカット軌道に悩んでいました。 軌道を内から入れる練習をしても、球は左に出て右へ曲がる。

転機は、構えの向きを第三者に見てもらったときです。 本人は目標にまっすぐ構えているつもりでしたが、両足と肩のラインが少し目標の左(オープン)を向いていました。 そこで、本人の感覚では少しクローズ、見た目では目標に平行になるまで向きを戻してみました。

結果、軌道がインサイドアウトに変わりました。 スイングの動きは何も変えていません。 変えたのは構えの向きだけです。

これは1人の観察で、数字を取った計測ではありません。 ただ、「向きを戻したら軌道が変わった」という出来事は、あとで見るプロの解説や計測データと一致していました。

なぜ「少し開く」だけで、軌道が外から入るのか

ボールの曲がりを決めるのはフェースの向きと軌道の差で、 その仕組みはフェースと軌道の記事にまとめています。 ここで押さえたいのは、軌道は「目標に対して」決まるという点です。

体が目標の左を向いていれば、体に対してまっすぐ振っても、目標に対しては外から内へ振ることになります。 本人の感覚では素直に振っているのに、結果は外から入る。 これがカット軌道の正体のひとつです。

アドレスの向きと軌道の関係図。左は目標に平行に構えた状態で、体に沿って振るとそのまま目標へ向かう軌道になる。右は体が目標の左を向いた状態で、同じ振り方でも目標に対しては外から内へ入る軌道になる

コーチの目澤秀憲氏は、スライスの原因としてまさにこの構えを指摘しています1。

「右肩が前に出やすく、肩のラインが左を向きやすい」

ゴルフのグリップは右手が左手より下にあるため、右肩が前に出て肩のラインが左を向きやすい。 その構えだと「アウトサイドインのカット軌道でインパクトを迎えてしまいやすくなってしまう」と、同氏は説明しています。 自然な構えは「右肩が左肩よりも少し下がっていることが自然な構えです」とのことです。

やっかいなのは、こうしてできた軌道のズレを、人は構えでなくスイングで打ち消そうとすることです。 右に曲がる球をフェアウェイの幅に収めようと、左に引っ張りにいくことが多いです。 すると軌道はもっと外から入り、悪循環になります。

「まっすぐのつもり」は、どれくらいずれているか

自分の向きを疑う根拠は、計測にもあります。 米国のPGAラーニングセンターが、ツアープロから40ハンデまでのゴルファーを練習場とコースで測った研究があります2。 70yd・130yd・190yd・ドライバーの4つの距離で、フェースの向きと肩のラインのズレを見たものです。

結果、スコア105を超えるくらいのゴルファーのズレは、プロの2倍でした。 しかも距離が伸びるほどズレは増え、70ydと190ydでは的から外れる幅がほぼ2倍になっています。

計測上級者・プロスコア100前後より上の層
フェースの向きと肩のラインのズレ(PGAラーニングセンター)基準プロの約2倍

つまり「少し開いている」のは誰にでもあることで、問題は意識と現実の差の大きさです。 研究員の「まっすぐのつもり」も、この差のどこかにあったはずです。

自分の向きを確かめる手順

向きのズレは、自分の目では見えません。 確かめる方法は、後ろから見ることに尽きます。

  1. クラブをかかとの前に置く。 構えたあと、両足のかかとの前にクラブを1本置き、後方に回って目標との角度を見ます。目標の左を向いていればオープン、右ならクローズです
  2. 肩のラインも見る。 足が平行でも、肩だけ左を向いていることがあります。クラブを胸に当てて、その向きを後方から確かめます
  3. 目標を決めてから構えに入る。 プロの市原弘大氏は、素振りは「『ボール後方』で」行うのが正解だとして、「ターゲットとボールを結んだラインの後方に立ち、打っていく球筋や弾道を明確にイメージします」と述べています3。後方で目標線を決め、その線に平行に立つ順番です
  4. 練習場では、マットの縁を信じない。 打席のマットは目標を向いているとは限りません。アライメントスティックを2本、足の線と目標線に置いて打ちます

研究員の場合は、手順1と2で「少し左を向いている」ことが分かりました。 向きが分かれば、戻すのは一瞬です。 スイングを変える練習は要りません。

閉じすぎると、今度はフックになる

向きを戻すときの注意は、やりすぎないことです。 クローズに構えるほどインサイドアウトは強くなり、曲がりはスライスからフックに変わります。 そこで研究所のおすすめは、トラックマンやスマートゴルフのような計測器でクラブパス(軌道がインサイドアウトかアウトサイドインかを示す角度)を測り、それを限りなく0度に近づけることです。 軌道とフェース面の関係はフェースと軌道の記事に書いています。

構える向きで出やすい球が変わる図。右を向いて構えると体と軌道が右向きになりドローが出やすく、左を向いて構えると体と軌道が左向きになりフェードが出やすい

目安は「見た目で目標に平行の状態」です。 開いていた場合、真っ直ぐに構えると本人の感覚では少しクローズに感じますが、後方から見て平行なら、それが基準になります。

それでも曲がりが残るなら、原因は向きではなくフェースの向きです。 曲がりはフェースと軌道の差で決まり、直す順番はフェースが先だとスライスの原因の記事で整理しました。 構えを戻してから残った曲がりだけを、フェースで扱います。

なお、コースで狙いを変えるときは、体ごと目標に平行に向け直します。 右の池を避けようと体だけ左に向けると、この記事の悪循環がそのまま再現されます。 狙いを移す考え方はドライバーOBを減らす記事にまとめています。

まとめ

  • カット軌道が直らないなら、スイングより先に構えの向きを疑う。体が目標の左を向いていれば、素直に振っても軌道は外から入る
  • 「まっすぐのつもり」は当てにならない。ハイハンデのズレはプロの2倍で、距離が伸びるほど増える。確かめるのは後ろから見るの一択
  • 戻す目安は「見た目で平行」。閉じすぎるとフックに変わる。残った曲がりはフェースで直す
  • やらなくていいこと: 向きを確かめる前にスイングをいじること

構えの向きは、打数を失う原因のなかでいちばん直すのが簡単な部類です。 それでも曲がりが残るなら、ロスの出どころは別にあります。 まずは自分がどこで打数を失っているかを知るところから始めてください。

出典

  1. 目澤秀憲氏(コーチ)の解説(みんなのゴルフダイジェスト「スライスの原因はアドレスにあり!? カット軌道を導く構えの"クセ"をチェックしよう!」・2021)。統計ではなく指導的見解。 ↩

  2. 米PGAラーニングセンター(フロリダ)の計測。Rick Martino氏によるGOLF Magazine 2001年9月号の記事をgolf.comが2024年に再掲したもの。計測は2001年と古く、人数の記載はない。ハンデ23超はスコア105前後より上が目安。 ↩

  3. 市原弘大氏(プロ)の解説(GDOレッスン「素振りする位置は『ボール後方』or『ボール横』、どっち?」・2015)。統計ではなく指導的見解。 ↩

よくある質問 FAQ

カット軌道(アウトサイドイン)はスイングを直さないと変わりませんか?

構えの向きが原因のことがあります。体が目標より左を向いていると、目標に対しては外から内へ振る形になります。研究所の検証では、少し開いていた構えを見た目でまっすぐに戻しただけで、軌道がインサイドアウトに変わりました。まず向きを確かめるのが先です。

自分の構えがまっすぐかどうかは、どう確かめればいいですか?

後方から見るのがいちばん確実です。クラブを両足のかかとの前に置いて後ろから見るか、練習場でアライメントスティックを足と肩の向きに置いて確かめます。自分の感覚だけでは、上手い人でも向きはずれるという計測があります。

クローズに構えればスライスは直りますか?

閉じすぎると今度はインサイドアウトが強くなり、フックが出やすくなります。目安は見た目で目標に平行、です。曲がり自体は構えでなく、フェースと軌道の差で決まるので、向きを戻したあとに残った曲がりはフェースから直します。

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